マンションが倒壊するとしたら?!
突然ですが、マンションが倒壊するとしたら何が原因だと思いますか?
恐らく「地震」と答える人が多いと思いますが、実は少し違うのです!
そこで本日は「マンションって地震でしか倒壊しないの?」について、お話したいと思います!
■マンションは何で出来ている?
マンションが何で建てられているか、皆さんご存知でしょうか?
一般的にマンションは「鉄筋コンクリート」で建てられており、鉄筋コンクリートは地震に強く、燃えないと言う特徴があります。
多くのマンションが鉄筋コンクリートで建てられているのは、まさにこれらが理由です。
しかし、そんな鉄筋コンクリートには弱点があります。
鉄筋コンクリートの弱点…それは「経年劣化」になります。
■鉄筋コンクリートの経年劣化とは…?
鉄筋コンクリートとは、コンクリートの中に鉄筋が入っているものを差し、コンクリートの素材である石灰石はアルカリ性が非常に強いのが特徴です。
内部の鉄筋はアルカリ性に守られ錆びにくく、建物の強度が維持されています。
しかし、鉄筋コンクリートの素材である石灰石のアルカリ性度は、湿度や雨水などの影響で時間と共に低下しやすく、低下することで内部の鉄筋が腐食し、鉄筋が錆びて膨張することで周りのコンクリートを破壊してしまいます。
コンクリートのアルカリ性度の低下が進めば進むほど、鉄筋コンクリートの強度も低下してしまうため、新築当初の強度を何十年と継続することが現実的に難しく、必然的に鉄筋コンクリートの強度は低下してしまいます。
そのためマンションが倒壊するのは、あくまで地震などの天変地異がきっかけであり、根本の原因は鉄筋コンクリートの経年劣化になります。
しかし、国土交通省が発表している「中古住宅流通促進・活用に関する研究会(2013)」の資料によると物理的な鉄筋コンクリートの寿命は120年、メンテナンスにより150年まで延命できるという報告があり、現実的にマンションがコンクリートの劣化により倒壊する可能性は極めて低いです。
■鉄筋コンクリートの物理的寿命とは…?
「鉄筋コンクリートの物理的な寿命は120年」とお伝えしましたが、鉄筋コンクリートにはいくつかの寿命があります。
➀物理的耐用年数(物理的な寿命)
物理的耐用年数とは、建物の劣化によって使用できなくなるまでの年数で、品質や構造上の仕組みを維持できる期間になります。建物の使用状況により年数の変化があるのが特徴です。
「鉄筋コンクリートの物理的な寿命は120年」というのは、まさに物理的耐用年数が120年ということになります。
➁法定耐用年数(税法上の寿命)
法定耐用年数とは、統一した基準で税金を計算するため法律で定められた年数のことです。
「鉄筋コンクリートの耐用年数は47年」と聞いたことがある人もいると思いますが、あくまで税金を計算する上での寿命のため、建築から47年を過ぎたからと言って、建物に住めなくなるわけではありません。
その他、鉄筋コンクリートには色んな考え方の寿命と称されるものがありますが、建物が使用出来る寿命は120年であり、既存のマンションが物理的な寿命を迎えるのは、まだまだ先になるでしょう。
■経年劣化を抑えるための対策とは?
では、コンクリートの経年劣化を抑えるためにどのような対策がとられているかご存知でしょうか?
以前「修繕積立金って…?」で紹介致しましたが、マンションの管理組合は所有者様から徴収している修繕積立金を使用し、マンションの外壁塗装、屋上の防水工事などを行うことで、湿度や雨水等の影響で鉄筋コンクリートが劣化しないように対策をとっています。
また、計画的なメンテナンス以外にもマンションの建替を行うケースもありますが、所有者の同意が取れない・建築基準法の問題等で、マンション全体の約3%※1しか建替えが行われていません。
計画的なメンテナンスを行っている管理組合がほとんどです。
※1: 国土交通省「分譲マンションストック戸数」を元に算出
■まとめ
マンションが倒壊するとしたら鉄筋コンクリートの経年劣化が根本の原因ではありますが、鉄筋コンクリートの物理的な寿命は120年であり、倒壊の可能性は低いでしょう。
また、マンションの寿命を延ばすために定期的なメンテナンスは必要不可欠であり、管理状況によってマンションの寿命を延ばすことが可能となります。
「総会」と聞くと多少面倒に感じるかもしれませんが、こういった目線で総会に参加することで、大切な資産を守ることに繋がるのではないでしょうか。