首都圏賃料の上昇
東京で初めて緊急事態宣言が発令されてから1年半以上経過し、新型コロナウイルスの影響は長期化しています。
withコロナにより様々な業種が影響を受けている中で、首都圏の賃貸住宅市場にどのような影響があるのかご存知でしょうか。
本日はwithコロナによる首都圏の賃貸市場がどのようになっているかをご紹介しようと思います!
【マンション賃料の上昇】
「転出超過」「家賃減額」「家賃滞納」といった見出しの記事がネットに掲載されるなど、新型コロナウイルスの影響により賃料が下がっている印象をお持ちの方が多いのではないでしょうか。
実は首都圏の賃料は減少するどころか上昇しています。
図1は「首都圏分譲マンションの賃料推移(㎡単価)」のグラフになります。
新型コロナウイルスが流行する2020年4月の時点で1㎡あたり2,749円でしたが、2021年8月には3,279円と530円も上昇しています。
感染拡大が広がった2021年3月以降、一時的に1㎡あたりの賃料が下がることもありましたが、緩やかに上昇を続けています。
図2は「首都圏賃貸物件 成約賃料」のグラフになります。
新型コロナウイルスが流行する2020年4月の時点の成約賃料の平均は75,398円でしたが、2021年8月には76,602円と賃料が上昇しています。
賃料に対するマイナスなニュースや記事が出回る中で、なぜ首都圏の賃料は上昇しているのでしょうか…??
【賃料上昇の理由】
首都圏の賃料上昇には、人々の賃貸需要の変化が大きく関係していると考えられます。
新型コロナウイルスが流行してから1年半以上経ちますが、1年半の間に人々の「家」に対する価値観が変化しているのです。
コロナ禍前は「利便性の良さ」や「住宅周辺の環境」等の需要が高い印象でしたが、図3を見ると「住宅設備」や「部屋の間取り」等の需要が増えてきています。
設備が整った物件や部屋数が多い物件は賃料が高い傾向にありますが、人々の家に対する価値観が変化したことにより、住宅設備を重視する割合が増えたと考えられます。
このような賃貸需要の変化は、新型コロナウイルスの影響で「巣ごもり」や「テレワーク」が普及したことにより、家に何を求めているか鮮明化した人が増えたことも原因の1つかもしれません。
図4は「テレワーク実施率」のグラフになりますが、首都圏のテレワーク実施率は高く、実施率の高さがより家で過ごす時間を増やし、人々の「家」に対する価値観が変化していくことが考えられます。
新型コロナウイルスの影響によりマイナスなニュースが多い中、首都圏の賃貸市場は必ずしもマイナスな影響を受けている訳ではないようです。
今後賃貸需要がどのように変化していくかは分かりませんが、人々にとって「家」は必要な存在であることに変わりはありません。
経済情勢により賃料の増減はあっても、その住宅が持つ利便性や住宅設備等が変化することはなく、不動産投資をする上で住宅が持つ変わらないものに着目することも大切なのではないでしょうか…。